研究活用装置


 溶接工学においては,多様な学問分野が関与していますが,特に接合工学は基盤的な役割を担っています。当研究室では,付加価値の高い材料に対して,適切な接合法の組み合わせを求めようとしています。接合方法は,摩擦攪拌接合,抵抗スポット溶接,ミグ溶接,ティグ溶接,電子ビーム溶接およびレーザ溶接などを対象としており,良い溶接部を得るための開発を行います。接合工学は,材料,加工およびエネルギーなどを含む総合学問であり,境界領域の新しい技術と出会うことが出来ます。

(1)ミグ溶接関係
 ミグ溶接とは,アーク熱源を応用した一般的な溶接法であり幅広く各種の材料の接合に使用されています。消耗電極の溶加材はアルゴンにより大気から保護され,溶接電源から電流を通電され溶加材であるワイヤと溶接される材料である母材は溶接熱により溶融して溶融池を形成し,溶接が完了します。

(2)ティグ溶接関係
 ティグ溶接とは,非消耗のタングステンを電極とする溶接法であり,電極と母材との間にアークを発生させて母材を溶融させるものであります。大気からの保護は,通常アルゴンにより行われます。

(3)電子ビーム溶接関係
 電子ビーム溶接とは,陰極から出た熱電子を高電圧に加速し,収束レンズで細く絞って母材上に衝突させることにより,電子ビームの運動エネルギーを熱エネルギーに変換し,目的とする個所を深く溶融させる方法であります。溶接室は真空であり,宇宙の環境に似ています。

(4)レーザ溶接関係
 レーザは光による溶接法であります。この光は太陽や蛍光灯などの通常の光と異なり単一の波長であり,きわめて小さい点に集光できます。さらに電子ビームと異なり大気中を伝送可能であります。レーザによる接合技術は,自動車,航空機にも拡大されており急速な技術革新が行われています。
 アルミニウム基異種合金間によるレーザ溶接特性の研究においては,アルミニウム合金の異種継手に関する基礎的な金属学的な挙動について検討を行っています。

(5)摩擦攪拌接合の応用研究
 摩擦攪拌接合は,摩擦熱により接合しようとする材料を融点近くまで加熱して,材料を流動化して摩擦および混合するプロセスです。本研究室では,小型の装置を開発しています。この接合法は,機械工学の様々な工学を応用することができ,学生諸氏の独創的な考えが必要とされ,その考えが実現します。


摩擦撹拌装置(共同研究)
摩擦撹拌装置(共同研究)

高炭素鋼の摩擦撹拌の溶接施工
高炭素鋼の摩擦撹拌の溶接施工

電子ビーム溶接装置(共同研究)
電子ビーム溶接装置(共同研究)